VDSL方式のマンションタイプでは、光回線の最大通信速度が100Mbpsまでしか出せません。
光ファイバーの代わりに既設の電話ケーブルを利用するため、速度が大きく低下してしまいます。
そのため、動画視聴やオンラインゲームなどの高速通信が必要なコンテンツでは、ストレスを感じる可能性が高くなるでしょう。
そこで本記事では、マンションのVDSL方式の光回線について、通信会社に長年勤務する筆者がわかりやすく解説します。
VDSL方式のマンションにお住まいでも、快適にインターネットを利用したい!という方は、ぜひ最後まで本記事をご覧ください。
VDSL方式とは?光配線方式との違いをわかりやすく解説

まずは、マンションでよく使われているVDSL方式がどんな仕組みなのかを整理しましょう。
ここでは、より高速な光配線方式との違いもあわせてわかりやすく解説します。
VDSL方式はマンションで使われる配線方式のひとつ
VDSL方式とは、マンションなどの集合住宅で使われる配線方式のひとつです。
光回線の基地局から建物までは光ファイバーで接続されていますが、共用部から各部屋までは既設の電話ケーブルを利用します。
光回線から電話回線に通信信号を切り替える必要があるため、VDSL方式では速度や安定性が低下してしまうのが大きな特徴です。
HIRO古いマンションやアパートでは、今でもVDSL方式が多く採用されています。
VDSL方式と光配線方式の違い
光配線方式は、建物の共用部から各部屋まですべて光ファイバーで接続する方式です。
信号の変換や劣化が起きないため、1Gbps〜10Gbpsの高速通信が可能で、安定性も非常に高くなります。
一方、VDSL方式は途中から電話ケーブルに切り替わるため、最大100Mbps(1Gbpsの1/10)までしか出せません。
実家のネット環境を調べたら
— 神宮寺🎩 (@jinguji777ch) October 13, 2025
まさかのマンションタイプのVDSL
最大100Mだった
なのでどんな契約をしても100Mまでしかでない
これを変えようとしたら
マンションの元の設備を変えないといけない
うちは分譲マンションだから
自治会で管理してるんだけど…
そのため、動画視聴やオンラインゲームなどを快適に楽しみたい方には光配線方式が最適です。
VDSL方式の光回線が遅い理由


VDSL方式は、建物の構造や配線方法によって通信速度が制限されやすい方式です。
ここでは、なぜVDSL方式の光回線が遅くなるのかを具体的な理由とともに解説します。
電話ケーブル(メタル線)による信号劣化
VDSL方式では、建物の共用部から部屋まで既設の電話ケーブル(メタル線)を利用しています。
このメタル線は、光ファイバーに比べて通信速度が遅く、ノイズの影響を受けやすいため、距離が長くなるほど信号が劣化します。
特に、通信機器が設置されている共用部から距離が遠い部屋ほど、通信速度が低下しやすくなります。
そのため、VDSL方式が採用されている高層マンションでは、十分な速度を期待するのは難しいでしょう。
共有装置の混雑による速度低下
VDSL方式のマンションでは、建物内に設置されたVDSL装置(集合装置)を複数の入居者で共有しています。
そのため、夜間や休日など多くの人が同時にインターネットを利用する時間帯は、通信が集中して速度が低下しやすくなります。
特に、利用世帯数が多い大規模マンションほど影響を受けやすく、速度のばらつきが大きくなる傾向があります。
このような「混雑による速度低下」は、設定や機器を変えても改善しにくいため、個人ではどうしようもできないのが現状です。
最大速度が100Mbpsに制限されている
VDSL方式のマンションでは、通信規格の上限として最大100Mbpsまでしか速度を出せません。
どんなに環境を整えても、光配線方式のように1Gbps以上の通信は物理的に不可能です。
そのため、契約プランに「1Gbps」と記載されていても、実際はVDSLの制限により100Mbpsが上限になってしまいます。
動画配信やオンラインゲームなど、データ量の多いコンテンツで通信速度が遅く感じるのはこのためです。
VDSL方式の光回線を快適に使う方法(改善策)


VDSL方式は構造的な限界がありますが、環境を整えることである程度の改善は可能です。
ここでは、通信速度を少しでも安定させるための具体的な方法を紹介します。
有線接続(LANケーブル)で利用する
VDSL方式の光回線を利用する場合、Wi-Fiよりも有線接続(LANケーブル)の方が安定して通信できます。
Wi-Fiでは電波干渉や距離の影響を受けやすく、実際の速度が半分以下になることもあります。
そのため、パソコンやゲーム機を使うときは、LANケーブルとルーターを直接つなぐのがおすすめです。
LANケーブルはカテゴリ6(CAT6)以上を選ぶと、ノイズにも強く速度低下を抑えられます。
ルーターを最新機種に交換する
通信規格が古いルーターを利用していると、VDSL方式での通信効率が悪くなります。
特に、3年以上同じ機器を使い続けている場合には、最新ルーターへ交換するだけでも速度が安定するケースがあります。
Wi-Fi6(IEEE 802.11ax)対応ルーターなら無線でも速度低下が起きにくく、複数端末の同時利用にも強いのでおすすめです。
古いルーターを利用している場合には、最新機器に買い替えることで、VDSL環境でも通信の安定性を高められるでしょう。
通信が混み合う時間帯を避ける
VDSL方式は建物内の装置を建物全体で共有しているため、夜間(20時〜23時)など利用が集中する時間帯は速度が落ちやすくなります。
動画視聴やオンラインゲームなど、データ量の多い通信はこの時間帯を避けることで快適に利用できる場合があります。
特にリモートワークやクラウドサービスの利用は、朝〜夕方の比較的空いている時間帯に行うのがおすすめです。
混雑時間帯の回避は根本的な解決にはなりませんが、体感速度を改善する有効な工夫のひとつと言えるでしょう。
戸建てタイプを契約する
VDSL方式は構造上の制限があるため、どんなに対策しても通信速度の上限(最大100Mbps)を超えることはできません。
根本的に速度を改善したい場合は、マンションタイプではなく戸建てタイプを契約するのが最も確実です。
戸建てタイプであれば、建物の共用設備を使わずに自室まで光ファイバーを直接引き込む光配線方式で利用できます。
ただし、戸建てタイプを契約する場合には、オーナーや管理会社に工事の承諾を取っておくことも忘れないようにしましょう。
G.fast方式とは?VDSLより速い最新の通信方式
VDSL方式と同じく電話ケーブルを使っているのに、1Gbpsの光回線に近い速度が出るケースがあります。
それは「G.fast(ジーファースト)」という次世代技術が導入されている場合です。
ここでは、G.fast方式の特徴や、VDSLとの違いをわかりやすく解説します。
G.fast方式とは?
G.fast(ジーファースト)方式とは、VDSL方式の後継として開発された次世代の高速通信技術となります。
既設の電話ケーブル(メタル線)を利用しながらも、高周波数帯域を使うことで最大664Mbpsの通信速度を実現します。
| 項目 | 速度実測値 |
|---|---|
| 平均ダウンロード速度 | 430Mbps |
| 平均アップロード速度 | 94Mbps |
| Ping値 | 16ms |
VDSL方式のマンションやアパートでも採用が進みつつありますが、対応しているマンションはまだ限られています。
また、建物の共用部と宅内の双方にG.fast対応装置(DSLAM・モデム)を設置する必要があり、VDSL装置とは互換性がありません。
VDSL方式とG.fast方式の違い
VDSL方式とG.fast方式はいずれも電話ケーブル(メタル線)を利用する配線方式ですが、通信の仕組みが大きく異なります。
VDSL方式は最大100Mbpsが上限ですが、G.fast方式は高周波数帯域を使うことで最大664Mbpsの速度で利用できます。
また、VDSLでは配線距離が長くなるほど信号が劣化しますが、G.fastは短距離通信(100m以内)に最適化されており、速度低下が少ないのが特徴となります。
つまり、同じ電話ケーブルを使っていても、信号の伝送方式と周波数帯の違いによって通信性能に大きな差が生じるというわけです。
G.fast方式を導入するには?
G.fast方式を利用するには、建物全体にG.fast対応の通信装置(DSLAM)を設置する必要があります。
そのため、個人で契約を変更して導入することはできず、マンションやアパート単位での設備更新工事が必要です。
現時点(2025年)では、対応物件はごく一部に限られており、多くの集合住宅では依然としてVDSL方式が使われています。
VDSL方式の光回線に関するよくある質問
ここでは、VDSL方式の光回線について多くの方が疑問に思うポイントをまとめました。
確認方法や速度改善の相談などをQ&A形式で紹介します。
自分のマンションがVDSL方式か確認するには?
部屋の中に「光コンセント(光ファイバー端子)」があれば、光回線方式で間違いありません。


「電話コンセント(モジュラージャック)」しかなければ、VDSL方式と考えてよいでしょう。
VDSLでも速度が速い人がいるのはなぜ?
VDSL方式でも、建物の配線距離が短い・利用世帯が少ない・VDSL装置が新しい場合は、通信ロスや混雑が少なく比較的速くなることがあります。
光配線方式で利用する方法はありますか?
建物の設備を利用するマンションタイプではなく、戸建てタイプを契約しましょう。ただし、建物に設備を追加する必要があるため、事前にオーナー・管理会社に工事の承諾を取っておく必要があります。
まとめ|VDSL方式のマンションで快適に使うためのポイント
VDSL方式は、建物内の電話ケーブルを使うためどうしても通信速度に限界があります。
動画視聴やオンライン会議が重く感じるなら、光ファイバーを直接部屋まで引き込む「光配線方式」への切り替えが最も効果的です。
完全に光配線方式で接続できる「NURO光マンション」なら、最大2Gbps〜10Gbpsの高速通信が可能。
もしNURO光の設備が導入されていない場合は、全国対応の「enひかり」の戸建てタイプを検討するのがおすすめです。


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