いつも何気なく利用しているインターネットですが、初心者にはわかりづらい小難しい専門用語がちょくちょく出現してきます。
その中でも最近では特に、インターネットの通信規格である「IPv4」と「IPv6」という言葉をよく目にする機会も増えてきました。
しかし、2つの通信規格にはどんな違いがあり、通信速度にどのような影響を及ぼすのかをキチンと説明できる人はなかなかいません。
そこで本記事では、IPv4とIPv6の特徴や違いについて通信会社に勤める筆者が、初心者の方にもわかりやすく解説をしていきます。
- IPv4とIPv6の違いを知りたい人
- 夜間帯でも快適にネットを使いたい人
- Wi-Fiルーターを買い替える予定の人
自宅のネット環境を少しでも快適にしたいという人は、ぜひ最後までお付き合いください。

この記事を書いた人:ひろぽん
通信会社に勤める副業ブロガーです。本業では、光回線やIoT機器、クラウドサービスを提供しています。本ブログでは、忖度なしに色々なサービスをレビューしています。
IPv4とIPv6の違いとは?

IPv4やIPv6のIPとは「Internet Protocol」を略したものであり、v4では「version 4」を指し、v6では「version 6」を意味します。
これら2つの通信規格では、いったいどんな違いがあるのでしょうか。
その違いをわかりやすく解説していきます。
IPアドレスが違う
IPv4とIPv6では、インターネット接続時に振り出しされるIPアドレスに違いがあります。
IPv4 | IPv6 | |
---|---|---|
IPアドレス | 192.168.0.1 | 2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334 |
個数 | 約43億 | 約132澗 |
IPv4のIPアドレス
IPv4のIPアドレスは、2進法の32桁で表現されており、約43億個の振り出しが可能です。
しかしながら、現在の世界人口は80億人を超えている状況のため、1人に1つずつのIPアドレスを振り出すことができません。
その結果、2019年にIPv4のIPアドレスは枯渇をしてしまい、すでに新規発行ができない状況に陥っています。
IPv6のIPアドレス
IPv6のIPアドレスは、2進法の128桁で表現されており、約132澗もの発行が可能です。
これにより、すでに枯渇しているIPv4のIPアドレスの切り替えることで、IPアドレスの枯渇問題が解消できると言われています。
日本国内でも総務省が主体となり、IPv6への切り替えの動きが活発化を見せています。
セキュリティ強度が違う
IPv4とIPv6では、通信接続に対するセキュリティの強度にも違いがあります。
- IPv4接続:セキュリティが弱い
- IPv6接続:セキュリティが高い
IPv4のセキュリティ
IPv4での接続は、パケットの認証や暗号化で使われるプロトコル「IPsec」が必須ではないとされています。
そのため企業や地方自治体などでは、VPNなどのソフトウェアを利用することで、通信接続のセキュリティを担保しています。
IPv6のセキュリティ
IPv6接続では、パケットの認証や暗号化で使われるプロトコル「IPsec」が必須であるため、セキュリティレベルは高いとされています。
つまりIPv6接続では、自動的に通信が暗号化されるため、IPv4接続よりもセキュリティが高い通信接続が可能となります。
接続方式が違う

IPv4とIPv6では通信接続の方式が異なるため、回線混雑度や認証方法にも違いがあります。
IPv4 | IPv6 | |
---|---|---|
接続方式 | PPPoE | IPoE |
回線混雑度 | 混み合う | 快適 |
認証方法 | Radiusユーザ認証 (ID/パスワードが必要) | 回線認証 (ID/パスワードが不要) |
IPv4の接続方式
IPv4の場合では、PPPoE方式にて通信接続が行われますが、従来から利用されている接続方式のため、ユーザー数が多く混雑しています。
また、インターネットの接続時にID/PWの認証が必要になることから、回線遅延の原因になるとも言われています。
IPv6の接続方式
IPv6の場合では、最新のIPoE方式にて通信接続が行われているため、ユーザー数も少なく回線混雑が起こりづらいことが特徴です。
またPPPoE方式とは異なり、インターネットの接続時にID/PWが求められないため、認証による通信遅延が起こらないと言われています。
IPv4とIPv6の速度実測値の違い

IPv4とIPv6の接続方式の違いによって、通信速度の実測値がどれくらい変わるのでしょう。
そこでIPv4とIPv6の速度実測値の違いを検証するため、専有回線のNURO光と共有回線のソフトバンク光の通信速度を測定してみました。
専有回線?共有回線?と言う人や、回線速度はどれくらいが普通なの?という人は、こちらの関連記事もあわせてご覧ください。
NURO光の速度実測値
まず初めに、専有回線のNURO光のIPv4とIPv6の速度実測値の違いを比較してみます。
IPv4 | IPv6 | |
---|---|---|
下り | 452Mbps | 446Mbps |
上り | 496Mbps | 501Mbps |
Ping | 7.1ms | 5.4ms |
NURO光のIPv4(PPPoE)の速度
時間帯 | 下り | 上り | Ping |
---|---|---|---|
朝 | 456Mbps | 481Mbps | 6.8ms |
昼 | 450Mbps | 463Mbps | 7.0ms |
夕方 | 452Mbps | 518Mbps | 7.8ms |
夜 | 453Mbps | 511Mbps | 6.8ms |
深夜 | 449Mbps | 506Mbps | 7.1ms |
平均 | 452Mbps | 496Mbps | 7.1ms |
専有回線のNURO光は、IPv4(PPPoE)接続でも時間帯を問わず速度が安定していました。
独自の光ファイバーを利用しているため、共有回線よりもユーザーが少なく、通信速度にまったく影響がないことがわかります。
NURO光のIPv6(IPoE)の速度
時間帯 | 下り | 上り | Ping |
---|---|---|---|
朝 | 456Mbps | 495Mbps | 5.0ms |
昼 | 454Mbps | 496Mbps | 6.2ms |
夕方 | 430Mbps | 507Mbps | 5.4ms |
夜 | 453Mbps | 520Mbps | 5.9ms |
深夜 | 437Mbps | 485Mbps | 4.9ms |
平均 | 446Mbps | 501Mbps | 5.4ms |
NURO光のIPv6(IPoE)接続でも、時間帯によるバラつきが少なく、安定して速い通信速度が測定できました。
そのため、独自回線のNURO光やauひかりなどを利用する場合には、IPv4とIPv6をそれほど意識しないでも問題ないと言えます。

ソフトバンク光の速度実測値
次に、共有回線であるソフトバンク光のIPv4とIPv6の速度実測値の違いを比較してみます。
IPv4 | IPv6 | |
---|---|---|
下り | 411Mbps | 534Mbps |
上り | 400Mbps | 331Mbps |
Ping | 13.6ms | 14.9ms |
ソフトバンク光のIPv4(PPPoE)の速度
時間帯 | 下り | 上り | Ping |
---|---|---|---|
朝 | 478Mbps | 390Mbps | 15.6ms |
昼 | 532Mbps | 402Mbps | 11.8ms |
夕方 | 505Mbps | 392Mbps | 15.1ms |
夜 | 127Mbps | 403Mbps | 14.5ms |
深夜 | 414Mbps | 413Mbps | 11.2ms |
平均 | 411Mbps | 400Mbps | 13.6ms |
共有回線のソフトバンク光では、他社光回線と光ファイバーを共有しています。
そのためIPv4(PPPoE)では、ユーザーが増える夜間帯に回線の混雑に巻き込まれる形となり、通信速度が急激に遅くなっています。
ソフトバンク光のIPv6(IPoE)の速度
時間帯 | 下り | 上り | Ping |
---|---|---|---|
朝 | 566Mbps | 341Mbps | 16.9ms |
昼 | 587Mbps | 339Mbps | 15.5ms |
夕方 | 583Mbps | 359Mbps | 15.3ms |
夜 | 454Mbps | 291Mbps | 15.3ms |
深夜 | 481Mbps | 326Mbps | 11.3ms |
平均 | 534Mbps | 331Mbps | 14.9ms |
共有回線のソフトバンク光でも、IPv6(IPoE)で接続した場合には、ユーザーが増える夜間帯でもそこまで速度が落ち込んでいません。
この結果から、フレッツ光もしくは光コラボの光回線を利用する場合には、IPv6(IPoE)接続での利用がおすすめと言えます。

IPv4からIPv6に変更するときに何が必要なのか?

光回線の速度を少しでも速度を改善したいなら、IPv6接続に切り替えをおすすめします。
IPv6接続に切り替えるときには、いくつかの変更点があるので注意しましょう。
IPv6オプションに申し込む必要がある
IPv6接続を利用したい場合には、プロバイダのIPv6オプションに加入する必要があります。
IPv6の料金無料・申し込み不要の光回線もありますが、一部の光回線ではIPv6対応に条件や追加費用が必要です。
光回線 | 料金 | 条件 |
---|---|---|
ドコモ光 | 無料 | 一部プロバイダには 申し込みが必要 |
auひかり | 無料 | 特になし |
ソフトバンク光 | 無料 | 光BBユニット (550円/月) |
NURO光 | 無料 | 特になし |
楽天ひかり | 無料 | 特になし |
enひかり | 198円 | 別途申し込み |
おてがる光 | 165円 | 別途申し込み |
IPv6対応のWi-Fiルーターが必要になる
IPv6接続には、IPv6に対応したWi-Fiルーターが必要になります。
IPv6未対応のWi-Fiルーターを使っているなら、この機会にWi-Fiルーターを買い替えましょう。
一人暮らしにおすすめのWi-Fiルーター
一人暮らしでコストを抑えたい人なら、コチラのWi-Fiルーターで十分です。
型番 | WG1200HP4 |
メーカー | NEC |
規格 | 11ac(Wi-Fi5) |
最大速度 | 5GHz帯:867Mbps 2.4GHz帯:300Mbps |
アンテナ数 | 5GHz帯:2×2 2.4GHz帯:2×2 |
家族で使う場合のおすすめWi-Fiルーター
家族みんなでネットを使うなら、コチラのWi-Fiルーターがおすすめです。
型番 | WG2600HM4 |
メーカー | NEC |
規格 | 11ac(Wi-Fi5) |
最大速度 | 5GHz帯:1733Mbps 2.4GHz帯:800Mbps |
アンテナ数 | 5GHz帯:4×4 2.4GHz帯:4×4 |
Wi-Fiルーターの失敗しない選び方は、こちらの記事に詳しくまとめました。

まとめ
IPv4とIPv6についてまとめました。
- IPv4よりIPv6の方が速度実測値が速い
- 反応速度(Ping値)もIPv6の方が速い
- IPv4とIPv6は接続方式が違い、IPアドレスの絶対数も違う
- IPv6接続に切り替えには、プロバイダによって条件が違う
- IPv6接続を使うには、IPv6対応のWi-Fiルーターが必要
今回検証したNURO光は独自回線のため、元々が混雑しづらくIPv4でも十分速い結果と言えます。
しかしそれでもIPv4とIPv6の速度には違いが出たため、共有回線の光コラボではその差はさらに大きくなることが予想できます。
光回線の速度を改善したいなら、IPv6接続への切り替えがおすすめです。

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