いつも何気なく利用しているインターネットですが、初心者にはわかりづらい小難しい専門用語がちょくちょく出現してきます。
その中でも最近では特に、インターネットの通信規格である「IPv4」と「IPv6」という言葉をよく目にする機会も増えてきました。
しかし、IPv4とIPv6にはどんな違いがあって、速度にどんな影響があるのか、キチンと説明できる人はなかなかいないんですよね。
そこで本記事では、IPv4とIPv6の特徴や違いについて通信会社に勤める筆者が、初心者の方にもわかりやすく解説をしていきますね。
- IPv4とIPv6の違いを知りたい
- 夜間帯でも快適にネットを使いたい
- オンラインゲームのラグを減らしたい
自宅のネット環境を少しでも快適にしたいという人は、ぜひ最後までお付き合いください。
筆者のプロフィール
HIRO
通信会社で15年働いています。ブログを通じて、少しでもあなたのお悩み解消のお手伝いができたら嬉しいです。インターネット回線に関することなら、どんなことでも気軽に聞いてくださいね!
IPv4とIPv6の違いとは?
IPv4やIPv6のIPとは「Internet Protocol」を略したものであり、v4では「version 4」を指し、v6では「version 6」を意味します。
これら2つの通信規格では、いったいどんな違いがあるのでしょうか。
その違いをわかりやすく解説していきます。
IPアドレスが違う
IPv4とIPv6では、インターネット接続時に振り出しされるIPアドレスに違いがあります。
IPv4 | IPv6 | |
---|---|---|
IPアドレス | 192.168.0.1 | 2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334 |
個数 | 約43億 | 約132澗 |
IPv4のIPアドレス
IPv4のIPアドレスは、2進法の32桁で表現されており、約43億個の振り出しが可能です。
しかしながら、現在の世界人口は80億人を超えている状況のため、1人に1つずつのIPアドレスを振り出すことができません。
その結果、2019年にIPv4のIPアドレスは枯渇をしてしまい、すでに新規発行ができない状況に陥っています。
IPv6のIPアドレス
IPv6のIPアドレスは、2進法の128桁で表現されており、約132澗もの発行が可能です。
これにより、すでに枯渇しているIPv4のIPアドレスの切り替えることで、IPアドレスの枯渇問題が解消できると言われています。
日本国内でも総務省が主体となり、IPv6への切り替えの動きが活発化を見せています。
セキュリティ強度が違う
IPv4とIPv6では、通信接続に対するセキュリティの強度にも違いがあります。
- IPv4接続:セキュリティが弱い
- IPv6接続:セキュリティが高い
IPv4のセキュリティ
IPv4での接続は、パケットの認証や暗号化で使われるプロトコル「IPsec」が必須ではないとされています。
そのため企業や地方自治体などでは、VPNなどのソフトウェアを利用することで、通信接続のセキュリティを担保しています。
IPv6のセキュリティ
IPv6接続では、パケットの認証や暗号化で使われるプロトコル「IPsec」が必須であるため、セキュリティレベルは高いとされています。
つまりIPv6接続では、自動的に通信が暗号化されるため、IPv4接続よりもセキュリティが高い通信接続が可能となります。
接続方式が違う
IPv4とIPv6では通信接続の方式が異なるため、回線混雑度や認証方法にも違いがあります。
IPv4 | IPv6 | |
---|---|---|
接続方式 | PPPoE | IPoE |
回線混雑度 | 混み合う | 快適 |
認証方法 | Radiusユーザ認証 (ID/パスワードが必要) | 回線認証 (ID/パスワードが不要) |
IPv4の接続方式
IPv4の場合では、PPPoE方式にて通信接続が行われますが、従来から利用されている接続方式のため、ユーザー数が多く混雑しています。
また、インターネットの接続時にID/PWの認証が必要になることから、回線遅延の原因になるとも言われています。
IPv6の接続方式
IPv6の場合では、最新のIPoE方式にて通信接続が行われているため、ユーザー数も少なく回線混雑が起こりづらいことが特徴です。
またPPPoE方式とは異なり、インターネットの接続時にID/PWが求められないため、認証による通信遅延が起こらないと言われています。
IPv4とIPv6の速度実測値の違い
IPv4とIPv6の接続方式の違いによって、通信速度の実測値がどれくらい変わるのでしょう。
そこでIPv4とIPv6の速度実測値の違いを検証するため、専有回線のNURO光と共有回線のソフトバンク光の通信速度を測定してみました。
専有回線?共有回線?と言う人や、回線速度はどれくらいが普通なの?という人は、こちらの関連記事もあわせてご覧ください。
NURO光の速度実測値
まず初めに、専有回線のNURO光のIPv4とIPv6の速度実測値の違いを比較してみます。
IPv4 | IPv6 | |
---|---|---|
下り | 452Mbps | 446Mbps |
上り | 496Mbps | 501Mbps |
Ping | 7.1ms | 5.4ms |
NURO光のIPv4(PPPoE)の速度
時間帯 | 下り | 上り | Ping |
---|---|---|---|
朝 | 456Mbps | 481Mbps | 6.8ms |
昼 | 450Mbps | 463Mbps | 7.0ms |
夕方 | 452Mbps | 518Mbps | 7.8ms |
夜 | 453Mbps | 511Mbps | 6.8ms |
深夜 | 449Mbps | 506Mbps | 7.1ms |
平均 | 452Mbps | 496Mbps | 7.1ms |
専有回線のNURO光は、IPv4(PPPoE)接続でも時間帯を問わず速度が安定していました。
独自の光ファイバーを利用しているため、共有回線よりもユーザーが少なく、通信速度にまったく影響がないことがわかります。
NURO光のIPv6(IPoE)の速度
時間帯 | 下り | 上り | Ping |
---|---|---|---|
朝 | 456Mbps | 495Mbps | 5.0ms |
昼 | 454Mbps | 496Mbps | 6.2ms |
夕方 | 430Mbps | 507Mbps | 5.4ms |
夜 | 453Mbps | 520Mbps | 5.9ms |
深夜 | 437Mbps | 485Mbps | 4.9ms |
平均 | 446Mbps | 501Mbps | 5.4ms |
NURO光のIPv6(IPoE)接続でも、時間帯によるバラつきが少なく、安定して速い通信速度が測定できました。
そのため、独自回線のNURO光やauひかりなどを利用する場合には、IPv4とIPv6をそれほど意識しないでも問題ないと言えます。
ソフトバンク光の速度実測値
次に、共有回線であるソフトバンク光のIPv4とIPv6の速度実測値の違いを比較してみます。
IPv4 | IPv6 | |
---|---|---|
下り | 411Mbps | 534Mbps |
上り | 400Mbps | 331Mbps |
Ping | 13.6ms | 14.9ms |
ソフトバンク光のIPv4(PPPoE)の速度
時間帯 | 下り | 上り | Ping |
---|---|---|---|
朝 | 478Mbps | 390Mbps | 15.6ms |
昼 | 532Mbps | 402Mbps | 11.8ms |
夕方 | 505Mbps | 392Mbps | 15.1ms |
夜 | 127Mbps | 403Mbps | 14.5ms |
深夜 | 414Mbps | 413Mbps | 11.2ms |
平均 | 411Mbps | 400Mbps | 13.6ms |
共有回線のソフトバンク光では、他社光回線と光ファイバーを共有しています。
そのためIPv4(PPPoE)では、ユーザーが増える夜間帯に回線の混雑に巻き込まれる形となり、通信速度が急激に遅くなっています。
ソフトバンク光のIPv6(IPoE)の速度
時間帯 | 下り | 上り | Ping |
---|---|---|---|
朝 | 566Mbps | 341Mbps | 16.9ms |
昼 | 587Mbps | 339Mbps | 15.5ms |
夕方 | 583Mbps | 359Mbps | 15.3ms |
夜 | 454Mbps | 291Mbps | 15.3ms |
深夜 | 481Mbps | 326Mbps | 11.3ms |
平均 | 534Mbps | 331Mbps | 14.9ms |
共有回線のソフトバンク光でも、IPv6(IPoE)で接続した場合には、ユーザーが増える夜間帯でもそこまで速度が落ち込んでいません。
この結果から、フレッツ光もしくは光コラボの光回線を利用する場合には、IPv6(IPoE)接続での利用がおすすめと言えます。
自宅のネットワークがIPv4かIPv6かを調べる方法
利用しているインターネットのIPアドレスを確認すると、IPv4とIPv6のどちらで接続しているのかがわかります。
ここではウェブサイトまたは、利用中の端末からIPアドレスの確認方法を解説します。
ウェブサイトで確認する方法
IPアドレスの確認は、以下のウェブサイトでかんたんに確認することができます。
上記サイトにアクセスすると、次の画面が表示され、利用中のIPアドレスが表示されます。
IPv4とIPv6のIPアドレスが両方表示されていれば、自宅のネットワークはIPv6にて接続されていることがわかります。
IPアドレスの確認は、この方法が1番かんたんです。
端末で確認する方法
確認作業が多少ややこしくなりますが、利用中のパソコンやスマホからでも、IPアドレスの確認ができます。
Windows11の場合
お使いのOSがWindows11だった場合、以下の手順で確認することができます。
「Windowsマーク」>「コントロールパネル」>「ネットワークとインターネット」>「ネットワークと共有センター」を選択します。
次に「アダプターの設定の変更」>「使用中のネットワーク接続」を右クリックして「状態」を選択しましょう。
立ち上がったウィンドウの「詳細」を選択すると、ネットワーク接続の詳細が出現します。
「ネットワーク接続の詳細」のIPv6のIPアドレスが表示されていれば、自宅のネットワークはIPv6であることがわかります。
Macの場合
お使いのパソコンがMacだった場合には、以下の手順でIPアドレスを確認できます。
「Appleメニュー」>「システム環境設定」>「ネットワーク」の順にクリックします。
次に「ネットワーク環境」>「自動」>「有効になっている接続」の順にクリックすると、利用しているIPアドレスが表示されます。
ここでIPv6のIPアドレスが表示されていれば、IPv6接続が可能ということがわかります。
iPhoneの場合
iPhoneでも、以下の手順でIPアドレスを確認することができます。
「設定」>「Wi-Fi」>「接続中のWi-Fiのインフォメーションマーク
」をタップします。赤枠の項目にIPアドレスが表示されていれば、IPv6接続が利用できることがわかります。
IPv6のIPアドレスが表示されなかった場合には、ルーターを再起動してみてください。
IPv6(IPoE)を利用する方法
フレッツ光や光コラボを利用している人は、回線混雑を避けて、通信速度を快適に利用するために、IPv6接続の利用をおすすめします。
でも、どうしたらIPv6接続ができるのか?って疑問が浮かびますよね。
そこで、IPv6を利用するために必要なことをわかりやすくご紹介していきます。
IPv6に対応したルーターを利用する
IPv6接続をするには、IPv6(IPoE)に対応したルーターを利用する必要があります。
プロバイダからレンタルされているルーターを利用している場合には、基本的にIPv6に対応していると思って問題ありません。
しかし市販で販売されている数年前のルーターを利用している場合には、IPv6に対応している機種かを1度確認してみましょう。
ルーターの型番で検索すれば、メーカーサイトでスペックが確認できますよ。
もっとWi-Fiルーターの選び方を詳しく知りたい人は、以下の関連記事に詳しくまとめましたので、あわせてご確認ください。
IPv6オプションに申し込む
IPv6接続を利用するには、プロバイダとオプション契約が必要な場合があります。
ほとんどのプロバイダでは、IPv6の利用を標準としていますが、一部のプロバイダでは別途オプション料金がかかることがあります。
IPv6の利用に条件があるプロバイダ
プロバイダ | IPv6を利用する条件 |
---|---|
ソフトバンク光 | 光BBユニットのレンタル (513円/月) |
enひかり | オプション契約 (198円/月) |
おてがる光 | オプション契約 (165円/月) |
各プロバイダのIPv6の条件については、関連記事にまとめましたので、該当する人はあわせてご確認してください。
IPv4とIPv6の違いでよくある質問
IPv4とIPv6の違いについて、よくある質問をまとめてみました。
これ以外の不明点があれば、記事下のコメント欄で教えてくださいね。
IPv4とIPv6の主な違いは何ですか?
IPv4とIPv6では、振り出されるIPアドレスに違いがあります。
IPv4では、2進数の32桁=約43億個のIPアドレスが利用されています。
対するIPv6では、2進数の128桁=約132澗のIPアドレスが利用可能です。
その他、セキュリティ機能やアドレスの自動設定、パケット処理の効率化など、さまざまな違いがあります。
IPv6の方がIPv4よりも速いですか?
通信速度に関しては、IPv4とIPv6では大きな違いがありません。
ただし、効率的なパケット処理や直接的なデバイス接続が可能なIPv6は、速度実測値が速い傾向にあります。
IPv6接続の方が、セキュリティが強化されていますか?
IPv6では、データの暗号化や認証を行うIPsec(インターネットプロトコルセキュリティ)が搭載されています。
そのため、IPv4で接続するよりもセキュリティ強度は高いと言えます。
IPv6はすべてのデバイスで利用できますか?
すべてのデバイスで、IPv6が利用できるわけではありません。
古い機器や特定のネットワーク環境では、未だIPv4の利用しかできない場合があります。
IPv4とIPv6は互換性がありますか?
IPv4とIPv6では、異なるIPアドレスが利用されているため、それぞれに互換性を持ち合わせいません。
まとめ
IPv4とIPv6とは、インターネットの通信規格を示したものであり、接続方式によって通信速度やセキュリティなどが異なります。
- IPv4のIPアドレスはすでに枯渇しているが、IPv6は実質的に無限にある
- IPv4よりもIPv6の方がIPsecが標準搭載のため、セキュリティが強い
- IPv4は時間帯によって速度が低下するが、IPv6は常時快適に利用できる
- IPv6を利用するには、IPv6対応のデバイスが必要になる
- IPv6の利用には、別途オプション契約が必要なプロバイダがある
特に共有型の光回線であるフレッツ光や光コラボを利用している場合には、IPv4接続だと速度低下が著しい時間帯があります。
- 通信速度が遅くなる時間帯がある
- リモートワークがよく途切れてしまう
- オンラインゲームのラグがすごい
こんなストレスを感じているなら、IPv6接続ですべてが解決するかもしれません。
リモートワークや動画コンテンツ、オンラインゲームを頻繁に利用する人は、自宅のネットワーク環境を1度確認してみましょう。
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